第107回 古典戯曲を読む会@東京2016年07月16日(土)19時より
マヤコフスキー『ミステリヤ・ブッフ』
マヤコフスキーによる『ミステリヤ・ブッフ』の登場人物、「不潔な人々」の下絵 |
古典戯曲の読む会@東京の7月では、ロシア・アヴァンギャルド運動を代表する詩人マヤコフスキーの革命祝祭劇『ミステリヤ・ブッフ』を取り上げます。この作品はロシア十月革命1周年記念日(1918)にメイエルホリドの演出で上演されました。
「われらの時代の英雄的・叙事詩的・風刺的描写」という副題を持つ『ミステリヤ・ブッフ』は、第一幕の舞台が「全宇宙」、第二幕が「方舟」、第三幕の第一景が「地獄」、二景が「天国」、三景が「約束の地」という壮大なスケールのなかで展開し、対立する階級の代表者たちや悪魔、歴史的人物、そして「物」などが登場人物の混沌としたエネルギーに満ちた怪物的な作品です。
マヤコフスキーが「演ずる人、舞台にかける人、朗読する人、またこれを出版する人は、おのおの内容に手を入れ、自分たちの時代に合わせ、身近なものに、新しいものに作りかえてほしい」と記すこの戯曲は、昨年地点×空間現代がフェスティバル/トーキョーで、2008年にはtptが上演しています。
『ミステリヤ・ブッフ』を訳すと「滑稽聖史劇」になります。「聖史劇」とは15-16世紀にヨーロッパ各地で上演された聖書を題材とする演劇です。しかし「方舟」や「天国」などの舞台設定、「悪魔」などの登場人物は用いられているものの、マヤコフスキーの『ミステリヤ・ブッフ』は、中世の聖史劇とは一見まったく異なる形式・内容の前衛劇です。またイタリアの劇作家・演出家、ダリオ・フォーは、1969年に『Mystero buffo』というマヤコフスキーのこの作品と同じタイトルの戯曲を発表していますが、フォーの『Mystero buffo』もマヤコフスキーの作品とはかなり異なる形式・内容となっています。フォーの作品はむしろ中世の聖史劇、笑劇を直接の素材としています。
今回、古典戯曲を読む会@東京で『ミステリヤ・ブッフ』を取り上げるにあたっては、中世聖史劇とダリオ・フォーの同名戯曲との関わりも考えつつ、読み進めたいと考えています。
戯曲は二回、もしくは三回で読み終える予定です。
会場や資料の準備の都合上、参加を希望される方は下記の連絡先まで事前にご連絡お願い申し上げます。定員を先着二十名とさせて頂きますのでご了承ください。
読む会のあとは、懇親会を近くの居酒屋で行います(会費2500円前後)。こちらも多くの方のご参加をお待ちしております。
【開催日時】2016年07月16日(土) 19時から21時
(18時50分に早稲田大学文学部戸山キャンパスl正門前集合http://www.waseda.jp/jp/campus/toyama.htm)
【場所】早稲田大学文学部戸山キャンパス 32号館224教室(文学部戸山キャンパス正門スロープを上って左手の建物の2階)
【使用テキスト】マヤコフスキー『ミステリヤ・ブッフ』小笠原豊樹訳、土曜社、2015年。1028円(税込み)。
(テキストはできるだけ各自でご用意下さい。出版元、amazonなどで購入可能です。どうしても用意できない方は片山までご連絡下さい)。
【問い合わせ・参加申込み先】片山 mikiokatアットマークgmail.com、もしくはtwitter「@koten_tokyo」まで
作者:マヤコフスキーについて
マヤコフスキー,ウラジーミル(・ウラジーミロヴィチ)
Majakovskij, Vladimir (Vladimirovich)
グルジア 1893-1930
詩人,劇作家.バグダディ生まれ.
早くから文筆に手を染め,未来派のリーダーとされる.ロシア革命(1917)中にボリシェヴィキのプロパガンダ担当として頭角を現す.戯曲には「ミステリヤ・ブーフ」(1918),風刺劇の「南京虫」(1929)と「風呂」(1930)などがある.死の前には,歯に衣着せぬ官僚体制批判や因襲を脱した芸術論が体制寄りのソ連の作家・批評家の痛烈な非難をあび,これが自殺の一因とされる.
『岩波=ケンブリッジ 世界人名辞典』より。
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