次回の読む会@東京の告知です。第3もしくは第4土曜日に行うことになっていましたが、大学の休みや連休などで今月は開催が10月1日になります。土曜開催は次で終わり、次々回からは3回にわたって月曜夜の開催になる予定です。
今月の戯曲は十八世紀フランスを代表する作家、マリヴォーの一幕劇『奴隷島』をとりあげることにしました。マリヴォーの精緻で軽妙な文体は《マリヴォダージュ》と呼ばれ、人間心理の揺らぎを繊細に描写することに卓越しています。1970年代にパトリス・シェローがこの作家の現代性に着目し、レパートリーとして取り上げるようになってから再評価が進み、現代のフランスでは人気のある作家です。彼はイタリア劇団のために戯曲を書きましたので、コメディア・ デラルテの役柄であるアルルカンが芝居に登場します。
『奴隷島』は当時流行していた《ユートピア》を主題とする作品で、奴隷が主人を支配するという架空の島が舞台です。中世以来の秩序が反転した《逆さまの世界》のモチーフを踏襲した啓蒙主義哲学の時代であった18世紀流の思考実験劇で、アルルカンという道化の記号を用いて身分制度の現状と欠陥を風刺しています。
社交界を舞台とした恋のやりとりを主題とする喜劇が多いマリヴォー作品のなかでは異色の作品ですが、現代での上演機会は比較的多い作品です。 1995年にピッコロ座のストレーレルがこの作品を取り上げ、話題になりました。軽やかで繊細なマリヴォー独特の台詞のやりとりと哲学の時代でもあった十八世紀の風刺精神が組み合わさったモダンな雰囲気の作品です。
テクストはコピーを用意します。一回で読み切ることのできる長さです。
多くの方々の参加をお待ちしております。
【開催日時】2011年10月1日(土)19時から21時
(18時55分に早稲田大学文学部戸山キャンパス正門前集合)
【場所】早稲田大学文学部戸山キャンパス 33-2号館113教室(文学部戸山キャンパス正門右手正面プレハブ校舎)
【使用テキスト】マリヴォー/木下健一訳「奴隷島」、野沢協、植田祐次編『啓蒙のユートピア 第2巻』東京:法政大学出版局、2008年、1-37頁。
テクストはコピーを用意します。
終了後、近所の居酒屋で飲み会あり。お時間ある方はこちらにもご参加ください。
連絡先:片山(mikiokatアットマークi.softbank.jp)
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