年の瀬となりました。2025年最後の古典戯曲を読む会@東京では、齋藤憐『グレイクリスマス』を取りあげます。1992年12月の初演以降、劇団民藝のレパートリーとして再演を重ねている齋藤憐の代表作です。
【齋藤憐について】 (1940-2011)
朝鮮平壌出身。1966年、俳優座養成所を卒業後、串田和美らと劇団「自由劇場」を結成。69年からはフリーになる。80年、自由劇場の『上海バンスキング』で岸田國士戯曲賞を受賞。同劇団への書き下ろしは、平安初期に天皇の寵愛を受けた女官の激動の生涯を辿る『クスコ』や、昭和初期の浅草に生きる芸人らを描く『黄昏のボードビル』などがある。偉人、著名人から市井の人々まで、時代に翻弄されながらもひたむきに生きる人間の姿を活写する戯曲は、高く評価されている。劇場開場時の記念公演を多数手がけ、97年の東京国際フォーラム開場に際し歌謡曲作詞作曲家・西条八十の生涯を東京の変遷に絡めた『カナリア』を執筆し、菊田一夫演劇賞を受賞した。また06年、長野の富農一家を通して戦後の日本人を見つめる『春、忍び難きを』で紀伊国屋演劇賞、鶴屋南北戯曲賞を受賞。2011年に逝去。(国際交流基金・日本の現代戯曲データベースより)
【作品あらすじ】(劇団民藝サイトより)
敗戦の年のクリスマス。進駐軍の将校クラブに母屋を接収され、離れに追いやられた五條伯爵家。天皇は人間になり、華族制度は廃止。路頭に迷って自殺を図る生活力のない当主の五條、戦犯裁判にかけられる弟、ヒロポン中毒の息子らの中で女たちはたくましく、後妻の華子と弟の妻慶子は、将校クラブのホステスを引き受けた。
不穏な動きを見せる闇屋の権堂や日系二世の軍人ジョージ・イトウが出入りする離れでは、にぎやかな宴が始まっている。ジョージの説くデモクラシーの理想に胸をときめかし、愛をふくらませてゆく華子。娘・雅子は、なぜか権堂に魅かれてゆく。やがてアメリカの占領政策がかわり、朝鮮戦争がはじまる。特需景気で旧勢力が息をふきかえし、五條の弟は政界に復帰、息子は警察予備隊に。そして翌年、戦死したジョージから思い出のオルゴールが華子のもとに届くのだった……。
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